日本の反省「心からのもの」
 【ワシントン=古森義久】米紙ウォールストリート・ジャーナルは二十五日付社説(電子版)で、中国での反日デモや日中首脳会談について「北京が謝罪する番だ」と題して、日本側の過去への反省表明を「心からのもの」と評する一方、日中関係を悪化させているのは中国だとして、胡錦濤国家主席の対応を批判し、暴力デモへの謝罪の表明をすべきだと主張した。
 社説はまず、小泉純一郎首相の二十二日のアジア・アフリカ首脳会議での「日本はかつて植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたことに痛切なる反省と心からのおわびを表明する」という演説を紹介し、「日本が戦時の残虐行為への謝罪を拒むという神話が崩れた」と論じた。
 とくに「小泉首相の反省の表明は心からのものだった」と強調し、その謝罪が「最近の中国での街頭デモで、日本の現代の指導者たちが半世紀以上前の出来事の罪を償うためにどれほどのことをしてきたかを誤解させられた人たちへの時宜にかなった通告となった」と述べた。
 さらに日中首脳会談での胡主席の「反省は行動で示せ」という反応は、日本がこれまでどれだけの行動をとってきたかを無視するとして、過去の日本の総額二百九十億ドルに及ぶ対中援助などを指摘した。そして、「今回の反日デモが日本の戦争の過去の書き換えに対する本当の懸念から起きたというのは誤解だ」として、「実際には自国の政治目的を推進するために歴史の苦情を利用している」と非難した。
 その証拠として、社説は「日本が二国間の緊張を減らそうと多くの措置をとっているのに対し、中国側は二国関係を悪化させようと努めている」と指摘し、胡主席小泉首相への抗議に台湾問題を筆頭にあげたことを注視すべきだと主張し、中国側の反日デモの真の狙いとして「日本が二月に米国との間で決めた(台湾海峡の平和と安定などについての)戦略合意から日本を後退させること」を挙げている。
 同社説は最後に「北京政府が自国民の日本の外交公館への暴力攻撃を許容したのか、あるいは積極的に激励したのかは別として、ウィーン条約での責務に違反したことは明白」であるのに、「自国側の反省を提示する兆しはないが、小泉首相がこれほど明確に謝罪をした以上、こんどは中国が自国の誤った行動への謝罪を表明する番だ」と結んでいる。