竹島問題

日本外務省口上書(昭和29年9月25日)

外務省は、在本邦大韓民国代表部に敬意を表すとともに竹島の領有問題に関し、
次のとおり申し述べる光栄を有する。
1、日本国政府竹島が日本領土の不可分の一部であることを確信し、これを韓国領土なりとする
大韓民国政府の主張を累次の公文、特に1954年2月10日付外務省口上書亜2第15号をもって反駁してきた。
しかしながら大韓民国政府は、日本国政府の見解を全く無視した。のみならず、日本国政府の度重なる申し入れおよび厳重な
抗議にもかかわらず、大韓民国官民による竹島に対する侵犯、同島周辺の日本国領海内における漁猟ならびに同島における大韓民国
領土標識及び灯台の設置等の不法行為が繰り返され、更に最近同島の現況調査のため派遣された日本国巡視船が同島より突然銃撃を受け
損害を被るに至った。
2、本件は国際法の基本原則に触れる領土権の紛争であるので、唯一の公正な解決方法は本件紛争を国際裁判に付託し判決を得ることにあると認められる。
日本国政府は紛争の平和的解決を熱望し、本件紛争を日本国政府及び大韓民国政府の合意の下に国際司法裁判所に付託することをここに提議する。
3、日本国政府は、大韓民国政府がこの紛争の最終的解決をもっとも公正にして権威ある機関、すなわち国際司法裁判所にゆだねることに同意すべきことを確信し、
早急に好意ある回答を寄せられることを期待する。日本国政府はここに、国際司法裁判所の下すいかなる判決にも誠実に従うものであることを誓約する。
4、裁判所の判決のあるまでの期間、両国政府が事件をこれ以上紛糾させないためにあらゆる手段を尽くすことは、
もっとも望ましいことと考えられる。よって外務省は、日本国政府竹島及びその周辺において困難な事件の発生を防止するための共同の暫定措置について
大韓民国政府と協議する用意があることを同代表部に通報する。
外務省は、在本邦大韓民国代表部が前記の諸提案を大韓民国政府に伝達し、それらの提案に対する
同国政府の見解を同省に通報せられんことを要請する。
昭和29年9月25日

韓国の返答(1954年10月28日)

大韓民国駐日代表部は日本外務省に敬意を表し、独島の領有に関して、本年9月25日の貴省の覚書について大韓民国政府の見解と決定を
次のように貴省に送達する光栄を有します。
1、独島は太古の時代から韓国の領土であって、また現在においても韓国領である。
2、紛争を国際司法裁判所に付託しようとする日本政府の提案は司法的な装いとして虚偽の主張をしているひとつの企図にすぎない。
韓国は独島に対して初めから領土権を持っており、その権利についての確認を国際司法裁判所に求めようとすることの理由を認めることはできない。
いかなる紛争もありえることがないにもかかわらず、類似的な領土紛争を造作するのは日本である。日本は独島問題を国際司法裁判所へ提議を付託することによって、
いわゆる独島の領有紛争に関して、ただ暫時的に自国を韓国と同等な立場に置こうということによって、独島に対する韓国の完全な論議の余地がない領土権に妥協する紛争の余地がないにもかかわらず、
日本は仮定を主張しようと企図している。
3、独島は日本侵略の犠牲となった最初の韓国の領土である。
4、現在、独島に対する日本政府の不合理である終始一貫した主張にかんがみ、
韓国国民は日本が同一な侵略の方法を反復しているのではないかと非常に疑っている。
5、韓国政府は臨時的であり、国際司法裁判所においても独島に対する韓国の主権を疑義に付する必要はない。
6、大韓民国政府に独島問題を国際司法裁判所に提示しようとする日本政府の提案に反駁せざるを得ないことを遺憾に思っている。
しかし大韓民国政府は日本政府が有しているかもしれないという独島に関連する如何なる質疑にも常に応えるものである。